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Start
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小公園
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雪嶽山
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新興寺(シヌンサ)
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フンドゥルバウィ
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蔚山岩(ウルサンパウィ)
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日の出公園(ヘマジコンウォン)
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洛山寺(ナクサンサ)-1
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洛山寺(ナクサンサ)-2
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洛山寺(ナクサンサ)-3
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焼き魚
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中央市場
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観光ホテル
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ケッペ
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アバイ村
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シンダシン食堂
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灯台展望台
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港
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海水浴場
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青草湖(チョンチョホ)
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Finish
襄陽の洛山寺
雪嶽(ソラク:설악)日の出公園で風景を台無しにされたカモメを追い払った罪の懺悔でもするかのように、次の目的地は江原道(カンウォンド:강원도)の有名な寺「洛山寺(ナクサンサ:낙산사)」です。日の出公園から海岸沿いを南におよそ
6km
ほど移動したここは、行政区域上は江原道襄陽(ヤンヤン:양양)に属しています。
襄陽という地名は、個人的になんとなく山と海からの日の出がステキそうな雰囲気の名前なので、澄んだ清らかなイメージが先に浮かびますが、想像とは違って洛山寺周辺にはペンションやけっこうハデな建物がいっぱいで、それどころか浜辺の近くなのにナイトクラブもあるほど賑やかだったので少し驚きました。
想像とは少し違った景観に驚きましたが、洛山バスターミナルの前で降りると向かい側には観光スポットとして「昆虫生態館」が建っています。しかし、そうはいってもここよりは「洛山寺」や「洛山海水浴場」のような自然を見に行く人が多いわけですから明らかに寂しそうでした。
私たちも例外なく数十台の観光バスがとまっている広い駐車場とおみやげ品店を通り過ぎ、まず洛山寺に至る土の道を行きました。「夢が始まる道」。
雪嶽山に比べたら、立て札のように「夢が始まる道」と言ってもいいほどなだらかな丘を上がる感じだったので、話をしながら無理なく登ることができました。
いくらもせずに低い石垣の道に沿って平地になります。幸いにもこの洛山寺は、寺にしてはあまり上り坂がないほうなのでとてもラッキーでした。それにちょうど太陽が山にさしかかるくらいだったので、道に沿って歩くだけで風情がある感じでした。
十数年前、ここで火災が起こり、大部分の樹木や寺が焼けたというニュースを見たことがあります。やはりその痛切な歴史を忘れないために、火事の資料展示場が別に設けられています。ですが、階段で下りていかなければならないので、私たちは一旦お寺の中を見てから来る事にしました。
洛山寺の一柱門(イルジュムン:일주문)は、この小さな丘のふもとのような所にあって、ここには建ててから間もないと思われる石門が立っています。ここはただのチケット売り場として建てた城(?)ではなく、朝鮮時代の王、世祖(セジョ:세조)が訪れたときに、各地域から26個の花こう岩を集めてたてた虹霓門(ホンイェムン:홍예문)です。
虹霓門を通る前に先に洛山寺の案内図に目を通します。観覧箇所は大きくわけて 4箇所。「圓通寶殿(ウォントンボジョン:원통보전)」がある中心部と「海水観音像(ヘスクァヌンサン:해수관음상)」がある海辺の丘の上、「寶陀殿(ボタジョン:보타전)」がある湖畔近く、そして「義湘臺(ウィサンデ:의상대)」と「紅蓮庵(ホンリョンアン:홍련암)」がある海岸の絶壁です。
入場料は大人 3,000ウォンで、慶州(ギョンジュ:경주)の仏国寺(ブルグクサ:불국사)のような有名な寺院に比べて比較的安いほうです。まして火災の復旧費用のたしになればという思いもあって、気持ち良く出して入場できました。
海岸にある寺なので安全のために入退場時間がハッキリしていません。特別な事がなければ日没まで入場を許可していますから、遠くから来る時は入場時間をあらかじめ問い合わせておいたほうが良さそうです。
中に入ると左右に背の低い木々が道に沿って植えられていました。とても古い木ではありませんが、それぞれが韓国のとても有名な人士たちが記念植樹した木です。真っ先に盧武鉉(ノ・ムヒョン:노무현)大統領と權良淑(クォン・ヤンスク:권양숙)夫人の植えた木が私たちを歓迎してくれます。
ニュースで聞いたことのある有名な政治家の植樹した記念の木を見ながら歩いていくと、すぐに三叉路が現われます。左側は圓通寶殿と海水観音像に行ける尾根伝いの道、右側は下り坂で海岸の絶壁に行く道です。陽がすっかり暮れる頃を見計らって最後のハイライトに「義湘臺」を見るようにしたら素敵な風景だろうと私たちは先に左の道を上ることにしました。
実はこの洛山寺は新興寺の末寺ではあるものの、我が国の三大観音道場(サンデクァヌンドリャン:3대 관음도량)に属する有名な寺でもあります。三叉路から20歩ほど歩いて石段を何段か上がれば、目の前に神秘的な形の太い木と四天王門(サチョナンムン:사천왕문)が道を守っています。
四天王門をくぐると太陽を迎える樓閣という意味の「賓日樓(ビニンル:빈일루)」の軒がまるで羽を広げているかのように雄大壮厳に立っています。しかし昔のままの建物ではなく、復元されたものなので少し残念な気がします。
もともと文化財に指定された銅の鐘があった梵鍾閣(ポンジョンガク:범종각)にも新しい鐘と太鼓がかけられています。火事の際には高温だったため、銅の鐘もすっかり溶けてしまったといいますから本当に残念な事です。
寮舍寨(ヨサチェ:요사채)「凝香閣(ウンヒャンガク:응향각)」の門の向こうに「圓通寶殿」がわずかに見えていますね。実際ほとんどの寺が似たような名前を使っていますが、ここ洛山寺の樓閣や法堂は少し特別な名前を使っているようです。
676年、義湘大師(ウィサンデサ:의상대사)がここで観音菩薩に出会い、水晶を渡されて観音菩薩が教えたとおりの観音像をつくって洛山寺を建てましたが、その場所がまさにこの圓通寶殿だそうです。それで圓通寶殿の中には乾漆観音菩薩座像(コンチルクヮヌンボサルジャサン:건칠 관음보살 좌상)(指定文化財第1362号)が安置されています。
そして圓通寶殿の前にはもう一つの指定文化財が立っています。それが洛山寺七重石塔(ナクサンサチルチュンソクタプ:낙산사 7층석탑)(指定文化財第499号)です。珍しいことに三国時代や高麗時代の石塔ではなく、仏教衰退期の朝鮮時代に造られた石塔です。
そして圓通寶殿のもう一つの見どころ。垣墻(ウォンジャン:원장、江原道有形文化財第34号)と呼ばれる朝鮮時代の塀です。寺の建築では珍しい垣墻は法堂を取り囲んだ空間が神聖な空間であることを意味し、なおかつ造形物としての効果もあわせ持ちます。