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咸陽/南原 #12 - 韓国で国宝と宝物が最も多い寺「實相寺(シルサンサ:실상사)」 - (Korea Tour)
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最終更新日 : 2017/02/18

旅行地域 : South Korea
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南原(ナムォン:남원)の智異山(チリサン:지리산)の麓の山内面(サンネミョン:산내면)には「實相寺(シルサンサ:실상사)」という寺があります。新羅時代の末期に思想界を主導した九つの代表的な僧侶集団「九山禅門」がありましたが、その中で一番早くできた寺がここです。實相寺から派生した小さな庵の薬水庵(ヤクスアム:약수암)と百丈庵(ペッジャンアム:백장암)が近くにありますが、ここの文化財まですべて含めれば国宝1点と宝物(指定文化財)11点があります。目にとまる大部分のものがすべて宝物と言ってもいいほど、単独の寺としては我が国最多の文化財を保有している所です。どんな風景があるか行ってみましょうか~



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独特なことに實相寺は小川近くの平地に位置しています。韓国には川辺に位置した寺は本当にまれです。千年前から川辺にあるのに、寺の格式を維持しながら今も寺として残っている所は、驪州(ヨジュ:여주)の神勒寺(シンルクサ:신륵사)くらいです。もちろん密陽(ミリャン:밀양)の舞鳳寺(ムボンサ:무봉사)や、夫餘(プヨ:부여)の皐蘭寺(ゴランサ:고란사)、公州(コンジュ:공주)の靈隱寺(ヨンウンサ:영은사)もあることはありますが、戦争で本山が燃えてなくなり、のちに本山に付いていた小さな庵が寺に昇格するケースが大部分です。とにかく、解脱橋を渡って寺に行って見ましょう。一柱門(イルジュムン:일주문)がありませんでしたが、この橋を一柱門だと思えばいいんでしょうね。


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解脱橋の両端には石像が全部で三つ立っています。本来なら出入り口に二つ向かい合わせで人を眺めるように立っていますが、一つは洪水で流されてなくなったそうです。高さが3m位の結構大きい石像ですが、宝物がいっぱいのお寺を狙う雑鬼も恐ろしくて逃げだすことでしょう。


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私は全国の寺にたくさん行きましたが、我が国の古い寺の中で戦争で燃えなかった所を聞いたことがありません。ここも丁酉再亂(ジョンユジェラン:정유재란、文禄・慶長の役)の時、南原(ナムォン: 남원)城が陥落した際全焼し、そのままおよそ100年経って、肅宗(スッジョン:숙종)の時に再建されました。しかし朝鮮時代末期に放火でまた全焼し、今は10余りの建物だけがようやく残っています。残念ですね。天王門を通って本格的に境内見物をして見ましょう。


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中に入るとすぐに目につくのはセウォル号(세월호)の犠牲者を追慕する「千日祈祷壇」です。犠牲者の数だけ黄色い旗が立っていますが、本当に心が重くなります。何と言っていいか分かりません。


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天王門を入ると寺の庭には三重石塔が二つ並んで立っており、うしろには石燈と普光殿(ポグヮンジョン:보광전)が順に立っています。このようなスタイルは以前の旅行記でもたくさん見たと思います。典型的な一金堂二搭の伽藍配置です。ここは今も境内の整備を盛んに行っていましたが、もうしばらくしたら少し整った寺になるでしょうね。


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普光殿の手前に東西に並んで立っている東塔と西塔は形がほぼ同じです。統一新羅時代に建てられたこの塔は、實相寺を最初に建てたときに一緒に作られたものですが、全体的に軽快な美しさにあふれています。現在国内で上段の相輪部が完全に残っている塔はほとんどありませんが、ここのはすべて新羅時代の物そのままだそうです。すごいです。現在宝物(指定文化財)第37号に指定されています。


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實相寺にも春はやって来ました。梅の花の香りが遠くからでもわかるくらいに強く香ってきますね。智異山の天王峯(チョナンボン:천왕봉)を眺めながら、多くの峰に抱かれた平地のせいか雰囲気が少し違います。普通は一柱門、四天王門、解脱門、不二門などを通過する度に上り坂や階段を上がらなければなりませんが、それがないので何か物足りない感じです。


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この塔の形も尋常ではありませんね。石燈は塔と同じく統一新羅時代に作られたものですが、不思議なことに石燈の前に石段があります。こんな石燈は見た事がありませんが、お坊さんにお聞きしたら石燈に明かりをともす時に上がる階段用だそうですが、国内で階段を含めて残っている唯一の石燈だそうです。キャ~素敵ですね。これも宝物(指定文化財)第35号に指定されています。


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他の寺の大雄殿格となる普光殿は、広い基壇の上にもう一つの小さな基壇を作って建てた小さな建物です。正面と側面がおのおの三間くらいしかないとても小さな規模ですね。そして他の殿閣と違って丹青が塗られておらず、素朴なところが美しいです。


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普光殿の右手には薬師殿があります。境内の建物の中で私たちがよく見かける朝鮮時代中期の格式ある建物はこの薬師殿です。建物が少し新しく見えますが、最近補修をしたようです。補修をする時は他の所は腐った木を交換しますが、花模様の格子戸だけは昔のままです。本当に美しいですね。


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薬師殿の中には天王峯を眺めるように鉄仏が座っていますね。この仏像は元々は野原にあったものをここに移したそうです。国に良いことがあればひたいから汗を流した霊験あらたかな仏像だそうですが、この寺で一番の人気です。薬師如来仏は病気を治し、現実世界の苦痛を和らげるという仏様ですが、家庭に何か憂いがあるようでしたら、三度頂礼をして見てください。現在、宝物(指定文化財)第41号に指定されています。


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では普光殿の左に行って見ましょう。ここには極楽殿がありますが、その手前に碑石と塔が一つずつ立っています。どこを見回してもどれも宝物ばかりです。これは統一新羅時代に建てられた「秀澈和尙塔(スチョルファサンタプ:수철화상탑)と塔碑」ですが、新羅の秀澈和尚の生涯を称えて彼の行績を記したものだそうです。塔碑の文字はすべて消えて今は読むことはできません。現在それぞれ宝物(指定文化財)第33号と第34号に指定されています。


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實相寺を最初に創建したのは洪陟(ホンチョク:홍척)僧侶という方です。先ほど申し上げた秀澈和尚はこの洪陟僧侶の弟子です。上の「證覺大師塔(ジュンガクデサタプ:증각대사탑)と塔碑」も洪陟僧侶の一生を称えて彼の業績を記したものです。「證覺」は僧侶が亡くなってから王が与えた称号です。塔の形がとても美しいですね。ところで残念なことに下の亀が支えているのは碑石の頭の部分です。胴の部分はどこかに消えてしまい、その上にあった頭の部分だけが残っているそうでね。それぞれ現在宝物(指定文化財)第38号と第39号に指定されています。


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地面の蓮の花の模様の石を踏んだら、いよいよ国宝に会いに行く番でしょうか? 国宝はここにはなく、近くの百丈庵という庵にあります。ここから向かいの山を少しだけ上がるだけですから、一度行って見ます。


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實相寺から車で約5kmほど走った水淸山(スチョンサン:수청산)の中腹に百丈庵があります。ここに入る山道は結構険しいですが、静かでくねくねとした道が多彩に続くので退屈ではありません。ここは大雄殿と七星閣、山神閣、寮舍寨など、いくつかの建物があるだけの小さな庵ですが、大雄殿前の芝生には昔の寺の跡が残っています。その規模からして、昔は結構大きな庵だったようです。うしろには水淸山が構え、境内を竹林で囲んでほのぼのとした感じがしますね。


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ドド~ン。大雄殿の前には三重石塔と石燈が立っています。二つとも統一新羅時代に作られたものですが石塔は上にいっても大きさがほとんど変わらず、塔身には様々な人物像を豪華に彫刻してあります。形式にこだわらない非常に独特な形をしていますね。石塔は實相寺普光殿の前の物と比べると比較的小さく素朴な形ですが、端麗な美しさですね。3重石塔と石燈はそれぞれ国宝第10号と宝物(指定文化財)第40号に指定されています。


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實相寺には私が今日お見せした以外にも宝物がまだありますが、建物の中にあって法堂に明かりが消えていたので写真に収めることができなかったものもあります。目では充分に見て来れる所ですから、南原旅行の際はぜひ行ってみてください。我が国の単一寺院で国宝と宝物が一番多い所ですから文化財探しの楽しさもあると思います。お勧めです。



+ 住所 : 全北南原市山内面立石里(ジョンブクナムォンシサンネミョンイプソンニ:전북 남원시 산내면 입석리) 50

+ 電話 : 063-636-3031

+ 入場料(實相寺) : 大人 1,500ウォン、中高生 1,200ウォン、子ども 800ウォン (百丈庵無料)


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Address: 전북 남원시 산내면 입석리 50 / 대한민국 전라북도 남원시 산내면 입석리 50


남원, 실상사, 백장암
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