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平昌 #5 -李孝石(イ・ヒョソク)文学館、生家 - (Korea Tour)
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最後修改 : 2017/02/17

旅行地区 : South Korea
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「そばの花咲く頃」の李孝石文学館(イ・ヒョソク ムナククァン:이효석 문학관)と生家(センガ:생가)


可山・李孝石先生は、韓国の代表的な短編小説「そばの花咲く頃」の作家です。韓国で普通に教育過程を経た人ならば、この小説を知らない人はいないと思います。秀麗な文体と優れた構造、そして完璧な文学的象徴まで兼ね備えている韓国現代文学の白眉であると言えます。小説の背景だった平昌の蓬坪には李孝石文学館と彼の生家があり、先生の文学世界をひと目で見ることができて、周辺では小説に出てくる表現のとおり「塩を振りかけたようなソバ畑」で香りに浸ってみることもできます。もちろん今はその場所にジャガイモの花が満開していますが、9月にはソバの花でいっぱいになります。



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チケット売り場でチケットを買って文学館に上がります。道のそばには李孝石文学碑が立っていて、黒い碑身に自然石がのせてあり、先生の叙情的な文学世界と調和がよく取れています。




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ここは丘に少し上った場所で、文学館の建物周辺は四方に視野がパーッと広がっています。周辺はすべてソバ畑なので花が咲く時期である9月には壮観になります。今は白いジャガイモの花がいっぱい咲いています!




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周辺全体がソバ畑で丘の上に位置しているので、ここはあたかもソバの花の上に浮かんでいるかのような形をしています。近所には小説に登場する水車と興亭川(フンジョンチョン:흥정천)があるので、合わせて見て回るとよいです。




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庭の端にソバ畑をバックにして座っている李孝石の銅像と、ここで借りた本を読むことのできる野外ベンチが本当に美しいです。涼しい日にはここに座って小さな本一冊を読んで行きたいものです。




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しばらく息をつこうとベンチに座ったら、茶色い蝶々1羽がそばに静かにとまります。たまにここに立ち寄った人たちがつまらないと言うのを聞いたことがありますが、文学館では本が最もおもしろいものです。彼が残した本を読み、また彼が生きてきた足跡をたどって彼の感性を楽しむ場所といいましょうか?




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内部はこのようになっています。李孝石(1907~1942)の生きた足跡と彼が残した本を時代順で展示しています。手に入れるのが困難なとても貴重な原本資料もたくさんありました。36年という長くない彼の人生で残した珠玉のような作品です。




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1938年に出された林和(イム・ファ:임화)の「玄海灘(ヒョンヘタン:현해탄)」という詩集が目に映ります。教科書で習ったような気がするのですが、このような一節があります。


『若者たちよ!
君たちは砂利よりも軽々と
玄海の大波を蹴とばした。
だが 関門海峡のかなた
早春の風は
はたして半島の北風より暖かかったか?』


朝鮮の近代化と日帝植民地からの独立という民族的課題の前で、青年たちが処した矛盾を言っています。近代化を成し遂げるには玄海灘の向こう側の世界を受け入れなければならないが、独立のためには相対して戦わなければならないという矛盾。




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展示館の廊下の中央では本を読めるようになっていて、内外どこでも本を借りて読むことができます。もちろん外国人のために6ヶ国語で本が準備されていました。韓国語、英語、フランス語、日本語、中国語などがあります。時間に少し余裕があったならば、小さい詩集を一冊読んできたのに。一時期、本をたくさん読んでいたのに、スマートフォンが普及してからは、紙の本をあまり読まなくなってしまいました。




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展示館には彼の作品のみを展示しているのではなく、彼の人生史とソバに関する展示物もあります。小説の題名と同じ素材で構成された展示物にやや戸惑いつつも新鮮だったりします。

また平昌が海抜700メートルを越える高冷地なのでジャガイモ、白菜などをたくさん栽培していますが、植えるとすぐ大きくなるため、早い収穫が可能なソバと二毛作をすることで有名です。





字が見えるかどうか分かりませんが、今の目で見るならば可山・李孝石先生はかなりの悪筆でした。彼が書いた原稿と肉筆の手紙を見るとハングルでも読み取ることができません。それもそのはず昔には漢字と一緒に書きましたが、漢字を流して書くのと同じような感覚でハングルをそのように流して書いたようです。手紙は京城普通学校(キョンソン ポトンハッキョ:경성 보통학교)で一緒に勉強した同伴作家の兪鎭午(ユ・ジノ:유진오)に送った手紙です。



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1936年「朝光」に載せられた<そばの花咲く頃>です。甘い隠喩と叙情的な文章が素晴らしい作品です。左利きにあばたづらであるホ・センウォンが財産を使い果たして蓬坪(ボンピョン)市場を歩き回る行商人になり、ある日の夜、ドンイという若造行商人と月の光を浴びながらソバの花が白く咲いた山道を歩くことになります。ホ・センウォンは月光の下で、蓬坪の小川のほとりの水車で、ある娘と夜を明かした話をするのですが、ドンイの未亡人の母も蓬坪に住んでいて、自分と同じ左利きであるということに錯雑な感慨に捕われます。全体的に表現が全て詩的で切ない感じのする名作です。




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この本は1948年度に出版された大韓民国政府樹立後、最初に発刊された国語教科書です。この本に 可山・李孝石先生の「山」という短編小説があります。この小説は農家の下働きをしていたところ、主人の妾に手を出したという誤解を受け、報酬も与えられないまま追い出された一人の男が自然を友として幸せを感じる物語です。




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では文学館を出て李孝石先生の生家を訪れてみます。厳密に言うと、ここは生家を復元した所で、実際の生家跡はここから600メートルほど離れているのですが、個人所有地であるため、やむを得ずこちらに復元したそうです。




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本来建物があった生家の場所も今では昔の建物が全て消えてなくなり、地域の元老たちの考証を基に6年前に再現された建物です。1900年代初期に生まれた方々がまだたくさん生存していらっしゃるので、おそらく本来の姿とほぼ同じように作られていることでしょう。




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わらぶき家の後方にはノイバラの花が満開になっています。ノイバラの花は韓国産のバラだと言われる立派な植物です。平昌でこの花が植えられた場所をたくさん見ましたが、ノイバラの花の新芽は食用として使われ、根元と実は薬に使われ、花はお茶にして飲めます。可山・李孝石先生も昔、この花を見ながら育ったことでしょう。




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ソバ畑では、春にはジャガイモの花が満開になっています。ジャガイモの収穫が終わると7月にはソバを植えるようになります。花たちも今、私に愛されて主人にも幸福を与え、なかなか成功した生きざまをしていますね? 人は名前三文字だけ残しても成功した人生であるとよく言うけれど、数十年が過ぎた今でも生きている文学作品を残した作家は、死んでも死んだわけではありません。


李孝石文学館は何に関心があるのかによって、おもしろくもあり、つまらないこともあります。単なる興味の種を探しているのでしたら、他の所に行くのが精神的な健康によく、可山・李孝石先生の文学世界に関心があるならば幸せな1日になります。6ヶ国語に翻訳された本もあるので外国人の友達に1冊プレゼントするのもよいでしょう。


最後に、李孝石が小説でソバ畑を描写したくだりは以下のとおりです。

『道は今、長い山腹に掛かっている。夜中を過ぎた頃だったか、死んだような静けさの中で獣のような月の息が手に取るように聞こえ、豆ととうもろこしの葉が一層月に青くぬれた。山腹はすべてそば畑で、咲き始めた花が塩を振りかけたかのように心暖まる月の光に息が詰まりそうだ。』



Map


+住所: 江原道(カンウォンド:강원도)平昌郡(ピョンチャングン:평창군)蓬坪面(ボンピョンミョン:봉평면)蒼洞里(チャンドンニ:창동리)孝石文学ギル(ヒョソクムナクギル:효석문학길)73-25

+電話: 033-330-2700,033-335-9669

+入場料: 大人2,000ウォン、青少年1,500ウォン、子供1,000ウォン

+入場時間: 9時~ 18時30分(10月~4月までは17時30分まで)

+休館日: 毎週月曜日、月曜日が公休日である場合は翌日休館





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