Holiday Journal

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全羅北道 完州 #3 - 花巖寺 - (Korea Tour)
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最後修改 : 2017/02/18

旅行地区 : South Korea
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行き方を教えたくないいい感じに歳月を重ねた寺一つ「花巖寺(ファアンサ:화암사)」


いい感じに歳月を重ねたというのはどんな感じでしょうか? 数百年の歳月の垢はついていても、太初の品格を余すところなく持ち続けた姿ではないでしょうか? 詩人安度眩(アン・ドヒョン)は「いい感じに歳月を重ねた寺一つ」、「敢えて行き方を教えたくはない。」という文句の「花巖寺、私が愛」という詩を残しています。全北完州郡(ジョンブクワンジュグン:전북 완주군)佛明山(ブルミョンサン:불명산)の花巖寺(ファアンサ:화암사)は華やかな話題はなくても、深い山奥で静かに歳月を重ね700年の歴史を語っています。



花巖寺の入り口にはどこにでもある店やトイレ一つありません。立派な一柱門もなく土と石が転がっているだけのカシワ道です。森の道自体が俗世間との断絶を語っているかのようです。寺まではこの道を1㎞ほど30分くらいかけて上がるとたどり着きます。




空が見えないくらい茂ったカシワの道を少し行くと、小さな渓谷に沿って道ができていますが、高麗時代からひたすら踏み入れる人の足のみでできた道です。車はもちろん、手押し車一つ通れないデコボコの岩山道。人の足でのみ行き来できるこの道は、そのせいか生きた自然のすがすがしさが感じられます。気のせいか寺に行く足どりもとてもさわやかですね。




苔の生えた小さな渓谷沿いに1㎞ほどの道を上がって来ると、背中が汗だくです。梅雨とはいえ、まだそうたいした大雨も降っておらず渓谷は浅く流れ、寺につながった鉄製の階段近くの滝の水も細長いですね。あとは曲がりくねった階段だけ上がれば寺が見えます。



急な鉄製の欄干を息を切らして上ると、いつ寺が見えるのかと思っていた瞬間に、背の高い松の間からついに寺が視野に入って来ました。



どの寺にもある一柱門、四天王門、不二門などはここにはありません。花巖寺で最初に出迎えてくれる建物は、有形文化財第662号に指定された「雨花樓(ウファル:우화루)」です。「佛明山花巖寺」という懸板をつけたこの樓閣は、朝鮮時代の光海君(グヮンヘグン:광해군)3年(1611年)に建てられた物です。庭の紫のあじさいのように、ここはきっと花のような所なんだと思います。




花巖寺は典型的な山地の寺で山のこう配に土台を築いて作った雨花樓を始まりに、左右に寮舎を建て、正面に極楽殿を建てたロ字形になっています。雨花樓の左にある寮舎寂黙堂(ジョンムッダン:적묵당)の縁側に腰かけて雨花樓を眺めると、刻まれた歳月がしっかり感じられる木魚が目につきます。この木魚は麻谷寺(マゴクサ:마곡사)の大寂光殿(デジャクグヮンジョン:대적광전)横の寮舎にかかった木魚と、仙巌寺(ソナムサ:선암사)の大寺の後ろの庵の樓閣にかかった木魚とともに、我が国で一番美しい木魚の一つと呼ばれています。小さくて丹青も消えてしまい歳月の跡だけがかすかに残っていますが、品格が感じられます。



雨花樓の向かいにある極楽殿。花巖寺が世間に知られるようになったのは、極楽殿が我が国で唯一現存する中国木造建築形態の下昂式の組み構造をしているからです。このような様式は中国と日本ではよく見られますが、中国から韓国を経ずに日本に伝えられたという主張を打ち消す決定的な証拠になりました。現在国宝第316号に指定されています。



極楽殿は慶長の役のとき火事で消失し、17世紀の朝鮮時代に新たに建てられましたが、百済建築方式で建てた当時より以前の姿に再現されました。「下昂」というのは屋根と柱の間に挟まれた長い木の板のことですが、この技法は屋根の重みを減らすためのものです。中国の雄大壮厳な建築によりできましたが、百済時代の建築技術の核心でもありました。



そして極楽殿の扁額も特徴があります。普通一つの扁額に文字が書かれていますが、花巖寺は一文字ずつ小さな板に分けて掛けてあります。多分軒の重さを支えるために組み合わせた木の装飾をさえぎらないためでしょうね。



極楽殿の後ろの屋根の形も本当に変わっています。正面は龍の頭の装飾ですが、裏はとがっているだけで何の装飾もありません。




極楽殿の内部も品があって美しいです。仏像の後ろの仏画も品格があふれていて屋根に飾られた龍の頭も素敵です。法堂の片隅には朝鮮時代の光海君の時に作られた小ぶりの銅鐘がありますが、これは夜になると勝手に鳴ってお坊さんを起こすという伝説があります。



寺をじっくり見ていたら、どこからかかしこそうな顔の黒い子犬が近付いてきて触ってくれと愛嬌をふりまきます。一度撫でてあげたら気持ちいいのかずっと私の近くを回っていた可愛いやつでした。遠くから呼ぶとまたちょろちょろ駆けて来て、前に座って触ってくれるのを待っています。



寺を下る道も、蒸し暑い夏の日中なのに一筋の光も通さないくらい生い茂った森なので、それほど暑くありません。花巖寺は建物全体が国宝であり有形文化財でもあるので一般公開の時間が決まっています。夏は午後5時30分、冬は5時に門が閉まります。山奥は早く日が暮れるので見る時間をちゃんと合わせていかないといけません。



Map

+ 住所 : 全北完州郡庚川面花巖寺ギル(ジョンブクワンジュグンギョンチョンミョンファアムサギル:전북 완주군 경천면 화암사길) 27

+ 電話 : 063-261-7576

+ 入場料、駐車料無料



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