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麟蹄 #7 - 流れに沿って100個の滝つぼを過ぎたら出会える「百潭寺(ペッダムサ:백담사)」 - (Korea Tour)
 | Holiday Journal
最終更新日 : 2017/02/18

旅行地域 : South Korea
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雪嶽山(ソラクサン:설악산)の奥深い山裾に百潭寺(ペッダムサ:백담사)という寺があります。韓国の元大統領が罪を犯し、世の中を避けて過ごした場所が名所になった所です。あまりにも奥深い山奥に隠れた寺なので、ごく少数の人だけが訪れた百潭寺でしたが、今ではバスが休みなく人を運んで来る所になりました。この寺は新羅時代の眞德(ジンドク:진덕)女王元年の 647年に慈藏律師(ジジャンユルサ:지장율사)が寒渓嶺(ハンゲリョン:한계령)付近に創建し、寒渓寺と呼ばれました。その後何回か名前が変わって、朝鮮時代の正祖(ジョンジョ:정조)大王の時代に百潭寺と改称して今日に至っています。


ところで百潭寺に行くためには7㎞の山道を上がらなければなりません。道の横には切り立った絶壁の渓谷がどこまでも続きますが、その間にある百個の滝つぼを通過したら着くというくらい本当に奥深い所に位置しています。名前からも分かるように百潭と言うのは百個の滝つぼを意味します。



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通りの道から寺まではおおよそ7㎞離れています。車両は進入禁止なので歩いて行くとだいたい2時間30分くらいかかります。村で運行しているマウルバスがあるので、バスに乗って行けばすぐに行けます。バスに乗っても片道15分くらいはかかります。でもバス代は大人片道 2,300ウォンと思ったより高いですね。


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バスを降りたら長い橋が見えて、その向こうに寺があるようです。天気予報では雨とは言っていなかったのに、突然雨が降ってきました。百潭寺は内雪嶽(ネソラク:내설악)の緑に囲まれてとても美しい姿をしていました。寺の裏にある登山路を行けば、五歳の小坊主の悟りが隠された五歳庵(オセアム:오세암)があって、韓国の5大寂滅寶宮(ジョンミョルボグン:적멸보궁)の一つ鳳頂庵(ボンジョンアム:봉정암)が百潭寺の末寺として立っています。


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お寺の前は百潭渓谷が流れていますが、その規模は大したものですね。川底は全て砂利石で最近見た渓谷の中では最大の渓谷でした。こんなに深い山奥にこんな大きな渓谷が隠れていたなんて! 渓谷の奥の幾重にも重なった雪嶽山の山並みを見れば、どれほど深い山奥なのか見当がつくと思います。霧が立ち込めてかすんではいますが …


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一柱門はバスに乗って通り過ぎてしまい、写真に収めることができませんでした。バスから降りて橋を渡ると「金剛門」です。この門は通常、お寺の入り口の一柱門の次に位置しますが、一柱門が象徴的な門だとすると、金剛門は寺の実質的な大門の役割をします。内部には「仁王像」と呼ばれる二体の金剛力士がこわい顔をしているため「仁王門」とも呼ばれます。


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金剛門を入ると「百潭寺」と書かれた懸板の掛かった小さな門がありますね。その周りに壁がないのでこれを門と言えるか分かりませんが、一般的な寺の門の構造に忠実に従おうとする意図がうかがえますね。普通、金剛門や四天王門の後ろには解脱門や不二門があります。まるでどこかの両班宅の大門のようですね。


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四方が山に囲まれていて、境内は寂寞感が漂うほどに静かです。台風が来ても風が吹きそうもない感じですね。寺の前庭の菩提樹の下には、独立宣言書33人の一人「萬海(マネ:만해)韓龍雲(ハン:ヨンウン:한용운)(1879~1944)」の詩が書かれた詩碑が二つ置かれていますね。この詩は萬海先生がある日、目張りの紙が震える音に大きな悟りを得て悟道頌(オドソン:오도송)(禅僧が自分の悟りを詠んだ詩)禅詩が刻まれています。


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よく知られていることですが、萬海韓龍雲先生は日本の植民地支配時代の仏教界を代表する思想家であり詩人の独立運動家でした。日本植民地時代の彼の代表的な詩「ニムの沈黙」はここで作られ、根本を失いつつあった韓国の仏教を民族仏教に発展させた萬海の思想は百潭寺から始まりました。


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規模がそれほど大きくない寺なので、見て回るには30分もあれば充分ですね。近くの庵まで見て回れる時間的余裕があれば、ぜひ行ってみたらいいと思います。手前には石塔、後ろには極楽寶殿がありますね。極楽寶殿の左側の殿閣が、かの有名な華厳堂(ファオムダン:화엄당)です。韓国の暗鬱な現代史のおかげで、ともすると萬海韓龍雲先生より全斗換(ジョン・ドゥファン:전두환)元大統領のせいで有名になった殿閣です。1988年11月、友達の盧泰愚(ノ・テウ:노태우)元大統領に生命の危機を感じて2年余りを過ごした場所です。


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極楽寶殿の中には朝鮮時代の英祖(ヨンジョ:영조)の時代に作られた仏座像があります。写真の中央の仏像です。木彫りの 87センチくらいの小さな仏像ですが、右手を肩まであげて、左手は足の上に置き、親指と中指を合わせた格好が慈悲深さを感じます。仏像の内部にこの像を作るようになった背景と年代が分かる発願文と黄色いチョゴリ、そして硝子や水晶などがあったそうです。現在宝物(指定文化財)第1182号に指定されています。


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ある面、極楽寶殿よりもっと有名になってしまった華厳堂。百潭寺で韓龍雲と全斗換の当時の姿を訪ねる人にとって、ここはどんな意味があるのか気になります。韓龍雲の号は萬海(卍海)で、全斗換の号が日海(イルへ:일해)ですから一つの殿閣で二つの海が出会った訳ですね。


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この狭い部屋で長い時間を過ごした二人の有名人。この部屋では国民から称賛される一人の方の痕跡はなく、今も国民から指弾される他の一人が使った品物が展示されていますね。本当に皮肉としか言いようがありません。


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寺のあちこちを見て回り、韓龍雲先生が百潭寺で感じた感性がどんなものだったのか想像して見るのもおもしろいかもしれません。そして「ニムの沈黙」という詩を取り出して読んで見ます。この詩は全斗換さんのクーデターと虐殺をオーバーラップさせても感情線がぴったりはまりますね。二つの海は「ニムの沈黙」でも接点があるようです。


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あれこれ考えて寺の前の小川に出ようと歩いて行くと、何かすごいものを見つけました! 小川のまわりに誰かが願いをこめて石を積み上げたものが、ものすごくたくさんあります。その数が尋常ではないので長い年月をかけて作られたものなんでしょう。


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どこまであるのかわからないくらい目に入る所はすべて石が積まれていますね。水が流れている上にも積まれていますから、ある程度の量の水が流れない限り崩れそうもないですね。私が見た限りでは我が国で一番広い範囲に願い石が積まれたエリアだと思います。


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またここの水の清さと言ったら。小川の底に土もないので水がとても澄んでいます。しばらくおりて行って顔を洗ってみたら、心まで清らかになる感じがします。寺も寺ですが、この百潭渓谷のためにも一度は来て見るべき所だと思います。


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誰かが人の背丈ほど高く石を積みあげてありますね。あの塔に込められた願いは天に近いのでかなう確率が高いんでしょうか? 私もあのてっぺんに小石を一つ載せてみます。


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百潭寺は私が行った中で一番深い山奥にある寺でした。韓国で正規教育を受けた国民なら誰もが知っている萬海韓龍雲と、誰もが知る希代の犯罪者全斗換元大統領、この二人が克明に対比される興味深い所でした。それだけでなく、寺の前の百潭渓谷も見逃せない所ですから、麟蹄旅行ではもらさずに行ってみてください。後悔しないと思います。


Map

Address: 강원도 인제군 북면 용대리 백담로 746 / 대한민국 강원도 인제군 북면 용대리 산12-27

+ 住所 : 江原道麟蹄郡北面龍垈里百潭路(カンウォンドインジェグンプンミョンヨンデリペッダムロ:강원도 인제군 북면 용대리 백담로) 746

+ 電話 : 033-462-6969

+ 入場料は無料、往復バス料金 4,600ウォンが必要。



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